近年は安全で高度な医療を求める声が高まる一方で、医師不足や都市部偏在による医師・看護師の業務負担の増大といった医療現場の疲弊が指摘されています。
こうしたなかで、多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性のもとに情報を共有し、業務を分担するとともに互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供する「チーム医療」の実践が求められています。
しかしその高度な医療技術を教育し、「チーム医療」を実践するための人員、時間、そして具現化された教育システムは今の診療現場にどれ程あるのでしょうか。“臨床現場”のスタッフ自らがおこなう「チーム医療」の実践、つまり人材の育成、情報共有、さらに業務分担の見直しができる教育モデルが必要です。
病院内で行うOJT(卒後教育)は時間と手間のかかる活動です。たしかに診療現場の“教育コスト”はDPC調整係数として一定の調整がなされているのかもしれません。しかし理学療法士や診療放射線技師の“教育コスト”は、実際の病院経営のなかでどのように位置づけられているのでしょうか。臨床現場において医療技術者の効率的な教育を行い、大学病院における教育モデルを構築するとともに、教育にかかるコストも明示していく必要があります。
当院には医療技術職9職種を統括する診療支援部という組織があります。この診療支援部で『高度急性期医療を支援する医療技術職の育成』をおこない、事業3カ年のうちに十分な成果を上げたいと考えております。
多くの皆さまからご意見やご示唆をいただければ幸いに存じます。
事業推進責任者 診療支援部長 伊藤義広